PURE DISTANCE REVIEW、今回は2022にローンチしたアントワーヌ・リー様のMV2Qです。
殺しのライセンス、No Time To Dieな硝煙の香り。
ロジャ・ダヴ様のMを想定内にしていたため、肌乗せした瞬間、背後に周られ銃口を突きつけられた気分になりました。初手からリー様独特の芯と熟した厚みを感じさせる香りではないか!
当初、Mの後継をリー様の処方で出したのだと安直に考えていたのですが、あまりに香りが違うので一体何が起きたのだろうとtanuさんのブログを拝見して、香水業界の舞台裏を知りそういうことかと納得しました。puredistancejapanよりレビュー提供を得たので感想を書きますね。
Mの人肌感からビスポークスーツ硝煙香るMV2Qへ
香りはつけた瞬間、私の肌では一瞬アエノータスを想起させるシトラスが広がり、これが時間を経るに連れて銃口から香る硝煙の核となっていきます、ツンとするような。
またミドルでパインタール(松脂)、シプリオール(植物の根)等が姿を表し、アーシーで若干、ライトなウードの気配を醸し出すことでスナイパーのビスポークスーツに残った香りを感じます。この辺りの香り具合が、ウード好きな方にも良いかもしれません。
ラストが長く、森がどんどん成長し壮大なウッディ香を形成、気温によってはトンカビーンによりその景色にまろやかさが加わる。
あれ??ダヴ様Mのシンボルとも言えるあの人肌生感なレザー香ない??
M の彼方へMV2Q No Time To Die
Mと名前に冠したMV2Qですが、同じ系統の香りと思って手に取ると痛い目にあいます。フレグランティカを覗いたらキレ散らかしてるレビューがありましたけど笑
Mの代名詞と言えるレザー香は彼方へ消え、土っぽさや5分前に特殊任務遂行した硝煙が香る・・。フローラルの面影を持つウッディ香が溶け合ったMV2Qの誕生です。
今回のMV2Qは、文字通り特殊任務。香水界の大御所ダヴ様によるM香料処方変更には対応できないとの突然の通告。
世界的には終末期を思わせる戦争の勃発、からの各国との取引停止。フォス社長の嗅覚喪失によるエバリュエーションの遅延。tanuさんに評価の連携を図ることでたどり着いたローンチ。
そして、何よりもアントワーヌ・リー様が、プライベートでも過酷な状況の中、心身を削り生み出す工程で生まれた「ただ、この今やるしかない!」のNo Time To Die な気迫がMV2Qの根底に感じられます。
なので、ダヴ様のMのリニューアルを待っていた方には悪いですが、MV2Qは、Mの空席についたリー様渾身の新作といった捉え方になると思われます。
稀代の調香師によるラブダナムで悼む香り
しかし驚くのは、アントワーヌ・リー様は、どうして全ての香りがこんなにも被らないのだろう・・でも手に取ると「やっぱり彼の香りだ」と感じさせる揺るぎない個性がある稀代の調香師です。
MV2Qはトータルな印象として、ウッディなのですが炎症を抑えるような草のような香り(ラブダナムですかね)がします。
建長寺を訪れた際に焚かれていた高貴なお香を連想し、これは相手への鎮魂なのか?とイメージ拡張に繋がりました。
ちなみに、ムエットにつけるとだいぶ香り方が違います。ムエットだとウッディさは控えめで、かなり長くフローラル寄りの香りがします。ドライダウンで硬質なシプレのようなイメージになります。
もしかしたら人によって肌に乗せるとこちらの香りになるかもしれないですね。女性ならムエットで香る感じで肌に香ってくれるとちょうどいいかなーと個人的に思いました。自分の肌では拳銃打ちまくりでした笑
メンズであれば、煙ウッディはどなたでも似合うと思うので試してみるのウッディ好きならアリですね。
MATIERE PREMIERE アンサン・スワーヴとの違い
もしかしてと思い、MATIERE PREMIEREのアンサン・スワーヴを左手に、右手にMV2Qをつけてみました。
どちらもラブダナムのバルサ味がベースにあるので近似値なのですが、スワーヴはフランキンセンスとバニラ、コクのあるコーヒーが全面に出ていて黒糖でコーティングされているかのような甘みのある渋アンバー。オリエンタルなイメージで女性男性ともに纏えるイメージ。
対してMV2Qは、バニラ入っているみたいですが、甘さはほとんどないです。
リー様ならではの柑橘バックビートからの燃え尽くして炭化した漆黒のパインタールにシプリオールでぐっとシックでクールな印象です。個人的な意見になりますが、男性がつけた方が体温など生物学的な観点で、より香りだちのシナジーが発揮されそうです。
生きるをする香水MV2Q
限られた時間で、後継の香りとしてその存在感を放つような存在に仕上げられたMV2Q。アントワーヌ・リー様がその中心として調香をし、周囲の人々も共通目的に向かい生きる時間を費やした。
MV2Qは与えられた使命を全うする人間の証のような香りです。
007 No time to dieの劇中で、Mがボンドに小説家Jack Londonの言葉を捧げています。
The proper function of man is to live, not to exist. I shall not waste my days in trying to prolong them. I shall use my time.
「人間は、存在するだけではなく、生きることで、本当に人間といえる。私は、日々をただ無駄に過ごすのではなく、自分の時間(my time)を使うのだ。」
https://onl.bz/ks6kn4N
私たちに時間はいくらでもある。未知の未来が開けてゆく時間が・・・
MV2Qと○○で007アコードの競演
いい男の系譜MVV2Qをまとった彼に似合うのは、ミステリアスで美しい女性。
PuredistanceのMYコレクションから ナタリー様の「12」、重厚なブルーローズを推します。可愛らしさもあり、強さ悲哀も演出できる。アナ・デ・アルマスのイメージ。↓PDの香りはタイムレスという言葉がふさわしくどれも好きだけど・・・わいのベストは・・ やっぱりリー様のGOLD!!!!ってことで、ロシアより愛をこめてのダニエラ・ビアンキのブロンドに似合うと思うのです。
↑カストリウムが素晴らしすぎて、いつつけてもヘヴン・・!!
MV2Qと華やかなPuredistanceコレクションを選び、どの007シリーズのボンド&ボンドガールになりきろうかと考えるのも楽しかったです♪
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